解体工事業の新設
1、解体工事業について
平成26年6月4日、実に40年ぶりとなる建設業許可業種の見直しがされ、「解体工事業」の新設が法律で決定致しました。
今まで解体工事は「とび土工コンクリート工事」の中に含まれていたのですが、解体工事専門の経験や資格のある技術者を確保し、事故の防止や工事の質を高めるため独立した工事業種となりました。
工事内容としては家屋の解体が該当し、電気配線の撤去などは電気工事、足場の撤去はとび土工コンクリート工事、といったように専門工事の中でのみ行われる解体や撤去は各専門工事となります。
いつから解体工事業が必要になるの?
平成28年6月1日から必要になります。
以後、解体工事業を営む場合、長野県の建設業許可が必要となってしまいます。
しかし、今までとび土工コンクリート工事許可で出来ていたのに、いきなり独立した解体工事業許可が必要となると、混乱が生じてしまいます。そのため、経過措置がとられる事となりました。
解体工事業新設に伴う許可上の経過措置
平成28年6月1日時点で「とび土工コンクリート工事」の許可で解体工事業を行っている建設業者は、平成31年5月31日まで、解体工事業許可がなくても解体工事を施工する事が可能です。
また、平成28年6月以前にとび土工コンクリート工事にかかる経営業務管理責任者としての経験は、解体工事業にかかる経営業務管理責任者の経験とみなされます。※専任技術者ではありません。
2、技術者の要件について
技術者の要件は?
「監理技術者」(3000万円以上下請に出す場合に必要)
・1級土木施工管理技士※
・1級建築施工管理技士※
・技術士(建設部門又は総合技術監理部門)
・実務経験
「主任技術者」
・2級土木施工管理技士(土木)※
・2級建築施工管理技士(建築又は躯体)※
・とび技能士
・登録解体工事試験
・実務経験
※ 平成27年度までの合格者に対しては、解体工事に関する実務経験1年以上又は登録解体工事講習の受講が必要となります
また、技術者要件に関しても経過措置があります。
技術者の経過措置(有資格の場合)
平成33年3月31日までの間は、とび土工コンクリート工事業の技術者(既存の者に限る)も解体工事業の技術者とみなされます。
例1:平成27年度までに合格した1級建築施工管理技士の場合
「平成33年3月31日まで」・・・解体工事の技術者とみなす
「平成33年4月1日以降」・・・解体工事の技術者ではない
※それまでに1年の実務経験か講習を受けることで技術者となります。
例2:平成27年度までに合格した2級土木施工管理技士(薬物注入)の場合
「平成33年3月31日まで」・・・解体工事の技術者とみなす
「平成33年4月1日以降」・・・解体工事の技術者ではない
技術者の経過措置(実務経験の場合)
通常、実務経験で技術者となるには10年間が必要となります。ここで仮に、実務経験が8年(内、3年間は解体工事)の場合
法施工前(平成28年5月31日まで)
「とび土工コンクリート工事業」として8年間
法施工後(平成28年6月1日以降)
「とび土工コンクリート工事業」として8年間
「解体工事業」として3年間
として認められます。
※通常、1つの工事期間につき1業種しか認められません!!しかし、特例により解体以外にも合わせて工事を請負っていた場合「とび」と「解体」といったように、同じ工事でも2業種の経験として認められます。
3、経営事項審査の取り扱いについて
経営事項審査では
全29業種ある建設業種ごとに
・完成工事高
・自己資本比率など
・経営状況
・技術力
・その他審査項目
といった指標をもとに建設会社を点数化します。
今回解体工事業を新設したことにより、「今までのとび・土工」として計上していた完成工事高と技術者が「新しいとび・土工」と「解体」にわかれてしまいます。
経営事項審査上の経過措置
経過措置の間は「とび・土工」でも
解体工事ができてしまうため、
・とび土工のみ行う業者
・とび土工と解体を行う業者
・解体のみ行う業者
が想定される中、どこに該当するかで経審結果に変動が出てきてしまいます。
したがって、平成31年6月1日まで「新しいとび・土工(法施工後)」と「解体」に加え、その二つを合計した「今までのとび土工(法施行前)」としての点数が結果通知書に記載されます!!
わかりづらいですが、簡単に言ってしまうと「経過措置が終わるまでは、参考に今までのとび土工としての点数を出しますよ」ということになります。
申請方法
工事高
経営事項審査では、直近2年or3年の工事高を基に計算します。よって、解体工事がある場合は遡って「とび土工」と「解体」を分けて工事経歴書を再提出し、かつ、その契約書などを用意する必要があります。
技術者
現在、一人につき2業種まで認められておりますが「とび土工」と「解体」が関わってくる場合、申請次第では3業種まで認められます。
4、最後に
平成28年4月1日現在、情報が完全に開示されたわけでもなく、手続きの詳細な部分までは定まりきっておりません。
40年ぶりの大改正ということで、おそらく平成28年6月まではおおよその手引きはできるかと思いますが、法律施行後は様々なケースが出てくる中、詳細な手続きは実情に沿って徐々に出来上がってくるように感じます。
常に最新情報を仕入れ対応していく事が求められますので、気になる点などありましたらお気軽にお問合せ下さい。